不動産投資の用語で残置物という言葉があります。
大家さんにはおなじみですが、賃貸する立場の方にはなじみ薄いかもしれません。
これは、入居者が残していった物品類のことを指します。
一般に、残置物を処分しないと次の入居者に部屋を貸すことができません。
残置物の処分には、結構費用がかかります。
残置物はなぜ生まれるのか?
残置物は、不良入居者でなくとも発生しがちです。
新居への引っ越しの際に、いらないものや処分に迷うものはつい置いたままになってしまうからです。
その他、これは入居者の責任なのですが、ごみ屋敷のまま夜逃げされるケースもあるでしょう。
そして、あまり考えたくないですが居室で亡くなられることも考えられます。
これは高齢者に限らず、単身であれば若者ですら孤独死というのは可能性としては一定程度あります。
残置物は誰のもの?
残置物の扱いは結構複雑です。
最も良いのが、退去の際に残置物を撤去する料金を入居者からもらうか、あるいは撤去する約束をとりつけることです。
しかし、それが叶わなければ話は複雑になります。少額訴訟や保証人に支払ってもらう等、大家さんにとってはいろいろと面倒なことになります。
借主の立場は強いですから、大家さんが勝手に人のものを処分するわけにもいかないのです。
これは身寄りのない単身者が亡くなった場合も、法定相続人がいないことを確認する必要があります。
このようなトラブルが起きないように、入居者の相続人とは連絡を取っておくことをおすすめします。
相続人がいなければどうするか?ですが、
その場合、賃貸借契約書の特約として「入居者が死亡した場合賃貸借契約は自動的に終了する」と記載しておけばよいです。
残置物処分の費用【1棟目の例】
私の1棟目の物件の残置物処分の例について説明します。
ちなみに前入居者は、養父です。
家のサイズは、3DKの二階建てです。延床面積は約50平米の狭小戸建てです。
元々は、大量の衣服が積みあがっていましたがゴミ袋8個分を撤去した後の居間の写真です。
ちなみに、右側の押し入れにもぱんぱんに衣服や物が詰まっています。
下記が業者さんに残置物撤去した後の写真です。襖は見事にボロボロです。
下記が、キッチンの残置物の状況です。テーブル、冷蔵庫など大物家電があります。
キッチンの残置物撤去後の様子。見えにくいですが、床がえげつないほど抜けています。前の前の入居者から45年間使われているキッチンはボロボロですね。
これは2Fの居間の写真です。ベッドや机などの大物家具があります。襖は当たり前のようにやぶれており、押し入れは恐ろしいほどパンパンです。
これが撤去後の写真です。かなりスッキリしました。襖はもう使い物になりません。
これが2Fのもう一つの居間の写真です。この部屋には、タンスと仏壇、マッサージチェアなどがあります。
撤去後の写真です。
まとめると、一般家庭なみに冷蔵庫やテレビ、電子レンジ、タンス、などの大型家電や家具があります。そして、押し入れは3か所あるのですが、そのすべてにパンパンに物が詰まっています。このような状況をすべて整理した結果、いくら費用がかかったでしょうか。
結論から言うと、税込みで23万円でした。
ごみ屋敷パートナーズさんという業者さんにお願いしました。かなり良心的な価格設定だと思います。
まとめ
今回は、大家目線で残置物の処分について語りました。
入居者さんが残置物を残していった場合、それらを撤去するためには結構費用がかかるということが分かっていただけたでしょうか?
良くとりだたされる問題に、高齢者の孤独死というものがあります。
現在では自然死であれば臭気もこびりつかないため、瑕疵物件にはなりません。
しかし、人が亡くなるのは仕方ありません。いずれどこかでなくなるのです。それよりも、残置物の方が大変なのです。
コメント